――包括的性教育（CSE）が教えてくれる５つの視点――

1. 「どうしよう…」と感じた瞬間に思い出したいこと

包括的性教育の最大の目的は、“選択肢を知り、主体的に決める力” を育てることです。予期しない妊娠でパニックに陥ったときほど、まずは ①正確な情報、②相談先、③利用できる制度 の３点を確認しましょう。ユネスコの調査によれば、CSE は性行動を早めるどころか、意図しない妊娠と性感染症を有意に減らすことが証明されています。Unesco Health and education

2. 72時間以内――緊急避妊薬という“時間を買う”選択

• 処方ピル（レボノルゲストレル） は性交後72時間以内の服用で妊娠阻止率が高く、現在は試験販売を経て薬局での対面販売に向けた法改正が進行中です。
  アフターピルの市販化についての最新情報
  緊急避妊薬のスイッチOTC化に向けた進 捗について
• 大学生や未成年でも保険証・身分証があれば医療機関で当日処方が可能。価格は8,000〜15,000円が目安です。
• 市販化（OTC化）が実現すれば、さらにアクセスしやすくなりますが、現時点では通販購入は違法 なので注意してください。

CSE Point: 「避妊に失敗したら、72時間以内に薬でリセットできる」と知っているだけで、妊娠恐怖から“何も行動できない”リスクを減らせます。

3. 決断までの情報整理 — ４つの進路

※2023年承認の「メフィーゴパック」は母体保護法指定医の処方が必須で通販不可。

CSE Point: どの進路にも「期限」と「費用」がある。情報を時系列で整理し、信頼できる大人や専門家と共有すると判断ミスを防げます。

4. 孤立しないための相談窓口

• 妊娠SOS相談（全国共通） 0120-789-770
• #妊娠SOS LINE相談（厚労省委託・24時間チャット可）
• にんしんSOS東京／にんしんSOS大阪 ほか各自治体の窓口
• 日本財団「妊娠葛藤ヘルプライン」 — 匿名・無料・24時間対応で医療や福祉へ橋渡し。
  産前産後の居場所建築事業
  妊娠SOS相談窓口・産前産後の居場所運営の新規立上げ事業

CSE Point: CSE が推奨する“Trusted Adult（信頼できるおとな）”は、親やパートナーでなくても構いません。まずは匿名でＳＯＳを出し、情報と感情を切り分けることが大切です。

5. 決めた後にも続くサポート

1. 出産を選んだ場合
   • 住民税非課税世帯は分娩費用の減免や児童手当の前倒し支給が可能。
   • 妊娠経過に不安を抱える10代には、里親一時委託も選択肢として残せます。
2. 中絶を選んだ場合
   • 術後１〜２週間の心身ケアが不可欠。CSE では「自己肯定の回復プロセス」を重視し、カウンセリングと避妊の再設計をセットにします。
3. 養親・里親に託す場合
   • 妊娠４か月から出産前後の短期入所施設（マイホーム的支援）の利用や、養子縁組コーディネーターとの面談が可能。

CSE Point: “終わりの選択”ではなく“次の章を支える伴走支援”があると知ることで、罪悪感や自己否定感を軽減できます。

6. まとめ — 予期せぬ妊娠と包括的性教育が交わる場所

• 情報へのアクセス：緊急避妊薬 OTC化や経口中絶薬など、日本でも選択肢は広がっています。fit.clinic
• 権利とエンパワメント：CSE は「知る権利」「決める権利」「支援を受ける権利」をセットで教えます。
• 社会とのリンク：ユネスコは、教育と保健が連携して早期妊娠を減らすべきと勧告しています。unesco.org

もし今「子どもを産む／産まない」で揺れているなら、72時間以内に緊急避妊薬を確認し、１週間以内に相談窓口へ連絡。その後は信頼できる専門家や支援者と一緒に「自分と子どもの未来年表」を書き出してみてください。

忘れないでください。
あなたには情報を得て、納得して、決める権利があります。そして、その決断を尊重し支える制度と人が必ず存在します。

――予期せぬ妊娠は、人生の終わりではなく、新しい選択と支援に出会う入り口かもしれません。