不妊治療と里親
はじめに
不妊治療を続けてきたけれど、なかなか授かれない。先の見えない治療と費用負担、心身のストレスに悩むご夫婦は少なくありません。そんなとき、“子どもを迎える別の道” として注目されるのが 里親制度 です。本記事では、不妊治療と里親の関係を整理しながら、家族づくりの可能性を広げるヒントをお届けします。
1. 不妊治療の現状と課題
- 治療期間が長期化しやすい
体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を含む高度生殖医療は、平均3〜4回のチャレンジが必要と言われます。 - 経済的負担
高度生殖医療1回あたりの自己負担額は約30〜50万円。複数回となれば100万円を超えることも珍しくありません。 - 心身へのストレス
ホルモン投与や採卵・移植に伴う身体的負担、結果待ちの精神的プレッシャー、周囲の無理解など複合的ストレスが重なります。
ここで立ち止まって考えたいポイント
- これ以上の治療が自分たちにとって本当に必要か
- “親になる” 手段を治療だけに限定していないか
2. 里親制度というもう一つの選択肢
里親は「養子縁組」と違い、“公的な委託を受けて子どもを養育する制度” です。必ずしも法的親子関係を結ぶわけではありませんが、子どもにとっては“家庭”という安心できる環境が得られます。
里親制度の主なタイプ
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 養育里親 | 18歳(原則)まで長期的に養育。親権は生みの親または自治体が保持 |
| 専門里親 | 虐待経験など特別な支援が必要な子を養育 |
| 親族里親 | 血縁者(祖父母など)が里親になるケース |
| 週末・季節里親 | 週末や長期休暇のみ家庭で過ごす短期型 |
※最終的に家庭裁判所の審判で特別養子縁組へ移行し、「実子」と同等の法的身分を得る道もあります。
3. 不妊治療から里親へ――心のバトンを渡すプロセス
- 治療と向き合う“区切り”を決める
- 年齢や経済的負担、医師の見解を踏まえ“あと○回”と期限を切る
- 情報収集フェーズ
- 児童相談所が主催する里親説明会に参加
- 養親・里親経験者の体験談を読む
- パートナー間の対話
- “血縁”へのこだわりを可視化
- 子どもと築きたい関係性を共有
- 第三者のサポートを得る
- カウンセラーや不妊治療専門の心理士に相談
- 里親支援機関との面談で制度理解を深める
4. 里親になるまでのステップ(養育里親の場合)
- 説明会参加・申込
- 家庭訪問・面接・研修(計数日〜数か月)
- 都道府県の審査・登録
- マッチング・顔合わせ
- 試験養育(定着支援期間)
- 正式委託
登録から委託までの目安:6か月〜1年。子どもの状況によって前後します。
5. 里親制度のメリットとチャレンジ
メリット
- 子どもの成長を日常の中で見守り、親としての喜び を体験できる
- 公的サポート(里親手当・医療費助成など)が受けられる
- 子どもの福祉に直結する社会貢献
チャレンジ
- ルーツへの配慮:生みの親との関係性や子どもの背景に寄り添う
- 専門的支援の必要性:虐待や被虐待などトラウマケアが必要な場合も
- 委託終了の可能性:生みの親の養育復帰や親族引き取りのケース
6. 不妊治療で培った経験が活きる場面
- 忍耐力と共感力:治療の過程で身についた“待つ力”は、子どもの心を待つ姿勢に通じます。
- 情報リテラシー:医療情報に明るい夫婦は、里親研修や養育プラン作成で学びを活かしやすい。
- 支え合うコミュニケーション:治療中に築いたパートナーシップが、共同養育の土台に。
7. よくある質問
- Q:里親登録と不妊治療は並行可能?
A: 原則として可能ですが、治療方針や家庭状況によっては児童相談所が登録時期を調整するケースがあります。 - Q:委託後に妊娠した場合どうなる?
A: 養育継続の可否は子どもの福祉最優先で判断されます。妊娠は必ずしも委託解除理由にはなりませんが、状況によって再評価が行われます。 - Q:費用面は?
A: 登録自体の費用はほぼゼロ。委託後は里親手当(月数万円)+児童育成手当・医療費助成などが支給されます。
8. まとめ――“親になる”カタチは一つじゃない
不妊治療は尊い挑戦です。しかし、治療の先に行き詰まりを感じたとき、里親制度という別の扉 を開くことで新たな家族の物語が始まるかもしれません。子どもの幸せと自分たちの幸せを重ね合わせながら、納得のいく道を選んでください。
次のステップ
- 自治体の里親説明会 を検索・参加予約
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あなたの想いが、未来を照らす家族の灯になりますように。









